グローバルに働く公認会計士のブログ

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AIで公認会計士の仕事はなくなるのか

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数年前に発表されたAIに取って代わられる可能性の高い職業として公認会計士が上がったと日本で話題になりました。実際には、Bookkeeping clerk「経理事務」なので、公認会計士ではないです。
それはともかく私は、公認会計士の仕事もAIにかなりの部分は取って代わられると思っていますし、実際昔に比べてAIまでとは言いませんが、様々なソフトウェアなどで業務は変わってきています。

 

公認会計士の仕事

 

公認会計士の仕事といっても多様なので、一言では言えませんが、大きく分けると以下のようになります。
- 会計監査:公認会計士の独占業務として、クライアントの決算報告書が適正であるかチェックし、監査報告書を出す。
- 会計アドバイザリー:クライントからの相談に対応して、会計処理に関してのアドバイスを実施したり、あるトランザクション(M&Aなど)に関して企業価値の算定など会計が関わってくる分野のでのアドバイスを実施。
- 独立会計士:独立した公認会計士で、主には税務業務をやってるケースがあります。
- 企業内会計士:主には経理部門にいるかと思いますが、企業に所属し、公認会計士としての知識を活かして仕事をする。

 

なくなる業務

 

私は現在のところ会計監査を主な仕事としています。
個人的な見解ですが、AIなどができる仕事はさっさと取って代わられればいいと思っています。だって、それは本来的に公認会計士の仕事でもないし、AIのほうが得意なら、そっちに任せたほうが社会的に良いでしょ。
世界の会計事務所(Big 4)でもどんどんシステムを導入して、監査の方法を変えてきています。これまで1,2年目の会計士(公認会計士試験合格者)が手作業で、ひたすら証憑と帳簿計上額が一致しているか見ていた作業も、現在では、会計システムのデータ、販売システムのデータ、銀行の入金データなどすべてのデータをシステム上でマッチングさせてエラーがないか確認しています。

 

公認会計士の本来の役割とは

 

監査にしても、アドバイザリーにしてもなんでも、公認会計士として求められる役割は、そんなルーチン作業みたいなものではありません。会計基準を見たら答えが白黒はっきりするものでもありません。ガチガチに法律で決まった通りに申告する単純な税務業務でもありません。
会社が実施した取引に対し、基準の解釈や高度な判断を元にここはOK,これはダメと、クライントと議論していくことがニーズとしてはかなり求められてくる部分ではないかと思っています。
解釈次第で、財務諸表の数値の出方が異なるため、とても慎重になります。答えのない世界で、クライアント、その他の専門家を動員しながら結論までたどり着きます。
これがAIにできるかどうか、いつできるかは不明ですが、ここまで来たら公認会計士だけでなく、現時点で代替可能性が低いと思われている仕事もAIがやってると思います。
ここまで複雑な会計処理を検討する企業もそんなに多くはないと思いますが、単純な取引で新規の事象もない企業の監査などは、取って代わられ、公認会計士として本来求められる役割に注力することが必要になってくるだろうと思います。

英文の記事ですが、下記のForbesの記事がよくまとまっています。
https://www.forbes.com/sites/bernardmarr/2018/06/01/the-digital-transformation-of-accounting-and-finance-artificial-intelligence-robots-and-chatbots/#767ba42f4ad8

AIの台頭で、産業に大きな影響を与えることを第4次産業革命と言われているそうですが、そんな社会の中で、Valueを出せる仕事はなにかを考えて、スキルを磨いていくことがこれまで以上に求められそうですね。

 

Ryohei